中くらいの木の下で
夕方の過ごし方の一つは子供たちと木登り鬼ごっこをすることだ。子供たちはとてもすばしっこく枝から枝へ木から木へと移っていく。私も頑張って行き場を探すのだがどこにも行けない気がして固まってしまう。動くよりも考える時間の方が長い気がする。今ナエがいるあの枝に行ったら枝が折れてしまうかもしれない。ラッタナーみたいにこの木にぶら下がったらこの木は折れてしまうかもしれない。そんな沢山のかもしれないが私の行くてを阻む。ズボンのせいにしたくなる。靴のせいにしたくなる。長袖のせいにしたくなる。
小さい頃の私は木登りが特異だった。ここのどんな子にも負けないくらい特異だった。
私の木の上の自由は一体どこに行ってしまったのだろう。
もしかして、大人になるって、大きい人になるってそういうことなのかな。
木のゆりかごは最高の遊び場だった。てっぺんを目指せばとてもわくわくした。てっぺんまで登れば誰よりも高くなれた。いつもよりうんと遠くを見渡せた。それから逃げ場で秘密基地だった。誰も私がいるところまで来れはしなかった。
いつのまにか木のゆりかごは小さくなり過ぎていたようだ。
新しいゆりかごを探さなくては。
大きな私に見合ったゆりかご。
あぁ、猿から人間になったのを強く自覚せざるをえない。
キョシン兵が自分の大きさに気づいた時や
人間と育った怪獣が人間との違いを否定しきれなくなった時や
醜いアヒルの子が自分はあひるじゃないって気付いた時の気持ちは
こんなじゃないかなぁ・・・・
キョシン兵が自分の大きさに気づいた時や
人間と育った怪獣が人間との違いを否定しきれなくなった時や
醜いアヒルの子が自分はあひるじゃないって気付いた時の気持ちは
こんなじゃないかなぁ・・・・
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